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国内でのダウンロード数が6,000万を突破し、海外展開も進めるフリマアプリの『メルカリ』。そのUS版、UK版のプロダクトマネージャーを務める木下慶氏が、満員御礼となったイベント『Product Manager Conference 2017』に登壇し、Mercari Europeの状況からアプリの開発体制、使用ツール、そして日本とUKにおけるプロダクトの違いなどについて語った。

本記事ではその一部始終を、プレゼン時に使用されたスライドを交え紹介していく。

株式会社メルカリ
プロダクトグループ マネージャー 木下 慶
メルカリのUS版、UK版のプロダクトマネージャー。NTTデータでのSE職、ランサーズでのエンジニア・プロダクトマネージャー職を経て、2016年メルカリに入社。筑波大学大学院コンピュータサイエンス専攻修了。

Mercari Europeの状況

Mercari Europeがあるのはイングランドのロンドンです。観光地にもかなり近く、中心地のビジネス街にオフィスがあります。

シェアオフィスの5階をまるまる借りていて、働いている人数は30名弱。

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立ち上げからのタイムラインですが、2016年9月頃からいろいろな手続きや開発を始め、ローンチまでの期間は半年ほど。2017年3月にプロダクトをローンチし、当時は日本と同じUIでアプリを提供していました。

その後、2ヶ月経った頃にUIをガラッと変えました。当初はUS版のUIをそのまま移植しました。

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私は2016年5月からUKチームのPMを担当しているのですが、現地のニーズを聞いたり、細かい改善をしたりして、半年経って今のUKのUIとなりました。

UKのCtoCサービスは、取り扱う商品ジャンルが特化型か全方位型か、配送モデルか手渡しかなどで分類することができますが、今のところメルカリと同じ「全ジャンルかつ配送モデル」の大きな競合はいません。

eBayはありますが、モバイルに特化したサービスとなると、いないという印象です。ここで私たちは勝負を挑んでいます。

プロダクトの開発体制

チームの大きなファンクションとしては、マーケティング、プロダクト、カスタマーサポート、コーポレートの4つ。マーケティングはオンラインマーケティング・オフラインマーケティングの両方を行っています。また、プロダクトチームはここからさらに2つに分かれています。

UKならではのチームの特徴として、かなりのダイバーシティがあります。

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ロンドンは、ヨーロッパ中のいろいろな国から人が集まってきているんですが、EU加盟国であれば、UKで働く敷居が低いというのがその主な理由です。Mercari Europeでも、30名弱の中には10カ国のバックグラウンドを持つ人たちがおり、ここは日本との大きな違いかなと感じています。

開発に関しては2つのチームに分けており、オンボーディングから購入までがTeam1、その後がTeam2です。また、全体の一貫性を保つため、PMは全体のUXも見ています。

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私はTeam1のPMだったので、マーケティングチームと共に動くこともありました。また、全体のUXを見るために、購入後の取引進行をわかりやすくする点についてもTeam2と一緒に考えていました。

プロセスとしては、四半期ごとに行う大きめな活動と、日々のプロダクト開発の活動に分けられます。四半期ごとの活動としては、クオーターの終わりに次のクオーターのOKRを設定します。

そこで決まったOKRを基に、どんなプロダクトを作るのかをPM全員で話し、Roadmapを引いています。PMは4名いますが、役割分担がされており、PMごとにOKRを実現する担当の機能を詰めていくようなかたちです。

メルカリでは、お客さまの声を聞き、どういうものを求めているのかお客さまの立場に立って考えることをとても大事にしています。そのため、UIの案やプロトタイプを実際のお客さまに聞くフェーズを必ず入れています。このフェーズは、必ずエンジニアとデザイナも一緒に入って行います。

Mercari Europeの開発ツール

ロードマップでは「Google Slides」を利用し、コピーしてどんどん更新しています。横軸がタイムライン、縦軸がバリューポジションで、PMごとに色分けしており、いつ誰が何をリリースする予定かが分かるようにしています。PM同士はdailyとweeklyでMTGを行い、進捗確認やリソースの調整をしています。

分析に関しては、「Looker」と「Google BigQuery」を利用しています。この「Looker」が非常に便利でとてもオススメです。

サービス固有のKPIでも事前に定義して「Looker」に表示できるので、データを出して欲しいとBIの担当者に頼むことなく、PMが簡単に数字を見ることが可能になります。ABテストの結果もパターンごとに比較可能です。アプリ内のタップやスクロールなど全ての行動も記録しており、テストパターンごとの行動の比較なども可視化できます。

仕様については、仕様作成は「Confluece」に記載し、「Jira」と連携しています。

プロトタイピングは「Sketch」で作ったものを「InVision」でフロー化しています。その他、MA&CRMツールとして「Appboy」というツールを利用しています。これはメルカリのDBの同期もでき、一度も買ったことのないお客さまなど、サービスの情報を用いたセグメントを作成し、セグメントごとにプッシュ通知を送ったりできるのでとても便利です。

開発において何より大事なのは「お客さま理解」

私たちはお客さまを理解することを大事にしています。スピードは一時的に犠牲になりますが、お客さまの声を聞き、お客さまの実際の操作を見ることを必ず行います。

1回あたり2日かけ、10名ほどのユーザビリティテストを行いました。

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数名だと意見や結果に偏りがでますが、10名ほど行うと複数名が同じことを言ったりと意見が収束してくるので、それを課題と認識することで優先度を付けています。

また、ユーザビリティテストとは別に、毎週数名のお客さまにオフィスに来ていただいてインタビューしたり、街中でのゲリラインタビューも行っています。

これはUKのUXリサーチャーに教えてもらい、共同で行っているものです。ゲリラという名の通り、街中に出て、急にそこにいる人に話しかけるという方法です。

「メルカリって知ってますか?」という質問をしたり、普段どういう風にモノを買っているか、どういう仕事をしていて何才くらいなのかなど、10分弱くらいメルカリに限らず色々と質問をします。ロンドンにはフランクな人が多いので答えてもらいやすく、だいたい十名ほどの情報を集めていきます。

日本人PMが海外で通用するために必要なこと

私はPMのロールとして、2つ大事なことがあると思っています。
それが「適切なプロダクトを定義すること」「定義したプロダクトをチームで実際に作ること」の2つです。

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プロダクトをしっかり定義すること、マーケットや人をしっかり理解すること、課題解決ができるものを定義すること、それが大切です。また、コミュニケーションをとり、そのプロダクトをチームで作っていくことをとても大事にしています。

私は日本生まれの日本人で、今回UKに行くまでヨーロッパに行ったことがありませんでした。

実際に、出身や言語など多様なバックグラウンドを持つメンバーと一緒に働いてみて感じたことは、自分の考えをちゃんと持ち、なぜこれをやりたいのかについて、データやお客さまの声といった事実とともにちゃんと伝えることが大事だということです。

加えて、エンジニアやデザイナに決まったことをお願いするのではなく、最初から巻き込んで一緒に作っていくことが大事だと感じました。ユーザーインタビューでもプロトタイピングでも、エンジニアやデザイナと一緒に行うことが大事なんです。

どうやってヨーロッパの文化を学ぶか

ヨーロッパに行ったことがないのに、どうやってヨーロッパのマーケットや人を学んだかについてですが、まず最初に現地に住む日本人にたくさん会って話を聞きました。

なぜ現地の人ではなかったかというと、理由は2点。1つめは、日本からロンドンに移り住んだ方は日本とロンドンを対比しやすいためです。ずっと日本に住んでいると日本の特別な点に気づきにくいように、ずっとイギリスやロンドンに住んでいる人にはわからないことがあるだろうと私は考えました。

そして2つめは、日本語でコミュニケーションできるため、深い話を聞き出すことができるからです。行動習慣やアプリについてなど、かなり詳しくインタビューさせていただきました。

次は、そうやって集めた情報をベースに、街中を歩いて観察して回りました。UKはEC化率が非常に高い場所です。日本が今6%くらいで、USは10%。中国は15%もあってすごいと言われている世の中ですが、UKはなんと15〜18%もあります。特にロンドンだと、配送網が整っていて、人や店が密集しているので、何でもデリバリーする文化ができています。

あるハンバーガー店では、アプリで注文した後、お店で受け取る仕組みを取り入れています。店が密集しているので「取りに行く」ということがしやすいのです。その他にもメガネや服など、基本的にどんなものでもこういう仕組みに対応した店があり、ネット専業のスーパーマーケットでは生鮮食品のデリバリーも行われています。

また、UKではドロップオフも簡単です。たとえば郵便局にドロップオフし、ECサイトのリターンも簡単にできました。

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地下鉄に乗って広告の観察も行いました。現地でユーザーインタビューをすると、「地下鉄広告でアプリを知りました」という声が多かったからです。アプリの広告は非常に多くありました。

ちなみにUKではオフラインでも安く新品の服が手に入ります。広義の意味では競合にあたるため、オフラインのお店も回りました。

このような形で、オンライン・オフラインに関わらず、アプリでもリアルなサービスでも、利用できるものはなんでも利用して日常や生活を理解していきました。

日本とUKのプロダクトの違い

今では、メルカリのUIは、日本とUKで大きな違いがあります。ヒアリングの結果を受けて変えていった結果です。

ロンドンの若い人は、服が好きでおしゃれな人がとても多いのが特徴です。写真を見たいという要望が強いんですね。そこで、写真を大きくしていきました。

一覧ページにおいて、日本では写真を3列で表示しています。一方、UKでは写真一枚あたりを大きくするため、2列に変更しました。アイテム詳細ページでも、日本では1枚の写真が大きく、その領域をスワイプして他の写真を見ていくUIですが、UKでは最初から全ての写真を表示しています。

また、ヨーロッパの人々はセキュリティについてもすごく気にします。日本はすごく安全な場所ですが、ロンドンにはいろいろな国のバックグラウンドを持つヨーロッパ中の人が集まってきており、基本的に「危ない、疑おう」という意識を持っている人が日本よりは多い印象です。

そのため、ペイメントの方法は最初に提示し、「既存のセキュアなペイメントが使えること」を明示しています。お客さまのプロフィールページにもメールや電話番号、Facebookログイン済みなどの認証バッチを付け、「こういう手段で認証されているので安全な方ですよ」ということを伝えるようにしています。

また、タイムラインにも出品者の情報を表示しました。「誰が出しているのか、その人は大丈夫なのか」をとても気にするため、評価や人の顔を見せるようにして、安全であることがわかるようにしているためです。

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