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近年、プロダクトマネージャー(以下PM)というポジションが注目を集めている。しかしその一方で、企業ごとにPMの業務範囲は様々で、その役割や価値はまだまだ明確化されているとは言いがたい。そこで今回は日本におけるPMの先駆者としての呼び声も高いfreee株式会社の坂本登史文氏に取材。PMの役割や求められる資質・能力について話を聞いた。

freee株式会社
プロダクトマネージャー/執行役員
坂本 登史文
京都大学理学研究科修了後、メーカー系SIer、ディー・エヌ・エーを経て2014年3月からfreee株式会社にジョイン。データマイニングエンジニアとして活躍。2014年よりPMとしてプロダクトのロードマップの作成からユーザーインタビュー、チームマネジメントなどに取り組んでいる。

プロダクトの世界観を守ることが、プロダクトマネージャーの使命

ーそもそもPMって元エンジニアだったり元デザイナーだったりと、バックグラウンドは人それぞれです。坂本さんも元はデータマイニングエンジニアとして活躍されていたんですよね。

坂本: そうですね。僕がPMになったのは、今からちょうど3年前。2014年頃のことです。当時、当社のメインプロダクトである「クラウド会計ソフト freee(フリー)」はおかげさまで順調に拡大の一途を辿っていました。でも一方で、チームメンバーがそれぞれ別の方向を向いてしまっていたんです。

たとえば営業、開発、サポートに「クラウド会計ソフト freee」のいいところを3つ挙げてくださいと聞くと、それぞれ全く違うことを言う。これはまずいな、と思いました。優れたプロダクトを目指すなら、どんなに大きくなっても、ひとつの世界観を守りぬいていかなきゃいけない。それには、一本筋を通す人が必要だと思って、代表の佐々木(大輔)にそういうポジションをつくることを提案したんです。

ーそのポジションがPMってことですね。

坂本: そうですね、ただ、PMというポジションを組織に取り入れようとしてできた、というより、思い描くミッションを持つ役割にぴったりの名前を探したら、それがPMだった、という状態です。

ーPMの業務範囲は会社によって大きく異なりますよね。御社では具体的にどこからどこまでをPMの役割としていますか?

坂本: プロジェクトによって異なるので一概には言えませんが、はっきり言えるのが、「お客さまに価値あるものを届けるところまで責任を持つこと」が、PMの最大の役割だということ。

なので、PMの仕事は、今お客さまが何を求めているのか、我々は何を解決しなければならないのか、という問いを立てるところからスタートします。その上でエンジニアを筆頭とする他のメンバーに対し、常にビジョンを発信しながらチームのテンションを上げて、ものづくりを進めていくという流れになります。

ーお客さまが何を求めているのかを知るために、直接ヒアリングをすることも?

坂本: ありますね。当社では、2ヶ月に1回くらいのペースで、お客さまにアンケートを行っているんですね。その際、評価が低かったお客さまにはPM自ら電話して、具体的にどんな点に不満を抱いているのかインタビューを行っています。

ー自ら電話!すごいですね。

坂本: PMは一番お客さまに近い存在であるべきというか、理解しているべきだと思いますからね。

ー集客から売上の計画立案といった、いわゆるマーケティングマネージャーに近いお仕事も業務範囲の中に含まれますか?

坂本: 弊社はB2B向けサービスですので、直接の売上の数字は営業部隊の管轄です。もちろん、新機能のプライシングなど、プロダクトに関わる売上戦略はPMも関わって決めています。

プロダクトチームが目指す指標は、いかにNPS(ネットプロモータースコア)を上げるか、あるいはいかに解約率を抑えるかといったもの。これらは優れたプロダクトであればあるほど、数値が良いはずなので。そのために、本当に使いやすくて価値あるプロダクトを、品質高く安定的に運営し続けることが第一義と考えています。

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プロダクトマネージャーとは、課題発見のプロフェッショナル

ーPMの仕事をする中でぶつかった壁や苦労などあれば聞かせてください。

坂本: いちばん苦労したのは、と言うか今も引き続き苦労しているところなんですけど(笑)、会社の成長が早いことですね。

ーというのは?

坂本: 「クラウド会計ソフト freee」って最初の頃は個人事業主さまがメインユーザーだったんですよ。それが今は法人さまも増えてきた。それも、小さい会社の社長さまから大企業の経理の方まで千差万別です。他にも会計事務所さまや銀行のような金融機関さまでも利用されるようになってきました。

ユーザー層が多彩になった分、誰に向かってどういうものづくりをするかという難易度は格段に上がりましたね。

ーなるほど、メインユーザーが変わればUIを変える必要なども出てきますね。

坂本: そうですね。状況が変われば戦い方も変えなきゃいけません。少し見方を変えれば、たとえば初期の「クラウド会計ソフト freee」は一定のIT知識を持ったアーリーアダプターの方がメインだったんですよ。ですから、彼らに向けたプロダクトをつくっていれば、市場から受け入れられていたんです。

ところが、あるときそれだけでは立ちいかなくなりました。歴史のあるWindowsインストール型のソフトと比較いただいた上で、freeeを選んでいただく必要がある。

そうすると、戦い方はまったく変わりますよね。1年前に上手くいったやり方に固執してもまるで通用しない。成功体験を捨てて、自らどんどん成長していかないと、とても目標や計画が実現できないわけです。そんなプレッシャーが楽しくもあり苦しくもありという感じです。

ーそうした場面で心がけていることは?

坂本: 「お客さまに本質的に価値ある商品を提供できているか」ということです。お客さまに価値のある製品を提供するのがプロダクトチームの責任。だからこそ、お客さまが本質的に困っていることは何か、課題として捉えるべきことは何かを正しく把握するようこだわっています。

ー素晴らしいですね!では、坂本さんのPMとしての成功体験をひとつ挙げるならどんなことですか?

坂本: 2015年に「会社設立 freee‎」をつくったことですね。事前に考えていた仮説がすごく上手くはまって、思い描いていたストーリーまでキレイにつながりました。

ー詳しく教えていただけますか?

坂本: 当時「クラウド会計ソフト freee」をプロダクトとして持っていたんですが、実はお客さまがこれを使い出すタイミングは会社を設立してからしばらく経った後なんですね。会社を設立し、しばらくしたら、「そろそろ会計もちゃんとしなきゃな」という考えに至って使い出す、というイメージ。

それに対して、もっと早い段階から、将来利用してくれるポテンシャルのあるお客さまにfreeeを知っていただきたいなと思ったんです。そこで考えたのが「会社設立をもっと簡単にできるプロダクトを作ったら良いのではないか」というものでした。

会社設立って実はすごく大変なんですよ。相当たくさんの書類を作らなければならない上に、その書類が難解。また、公証役場や法務局などいろんな場所にその書類を提出しなければなりません。それが簡単にできるプロダクトはかなりのコストの節約になり、「スモールビジネスに携わる誰もがより本業にフォーカスできる社会を実現すること」という我々のミッションにもピッタリはまります。

そう信じて開発に取り組んだ結果、リリースの際は積極的なプロモーション投資をしたわけではないのに、Twitterのトレンドに入るくらい大きな反響がありました。その手応えは大きかったですね。そのときのTwitterの画面はいまでも保存しています(笑)

ー当時、成功確率はどの程度と踏んでいましたか?

坂本: 難しい質問ですね(笑)。それこそ時期によって変わっていったというのが正直なところです。

自分の中で仮説を立てた当初は絶対当たると100%の気持ちでスタートしましたが、プロトタイプをつくってユーザーテストを行ったときは反応がすごく悪くて、もうどーんとへこんで…(笑)。

そこからエンジニア・UXデザイナーと一緒に、UIを徹底的に直すために合宿を行い、試行錯誤を続けました。リリース前日は全然眠れませんでしたが(笑)、自分たちが解こうとしている課題に対しては100%の自信がありました。だから、成功するかはさておき価値あるプロダクトだという自信は持っていましたね。

ーユーザーテストで評判が悪かった時、何を考えましたか?

坂本: お客さまが「なぜわかりづらいと言ったのか」に徹底的に向き合いました。反応だけを見て言われたとおりに直すのではなく、一旦ちゃんと自分たちで思考する。僕はPMとは課題を発見するプロフェッショナルでなければならないと思うんです。なので、まずはちゃんと課題を見つけることが大事なのかなと思います。

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問題に対する情熱が、デキるプロダクトマネージャーの絶対条件

ー坂本さんとしては、デキるPMと、そうでないPMの違いは何だと思いますか?

坂本: お客さまに対する情熱、解きたい問題に対する情熱がすべてかなと思います。当社であれば、スモールビジネスに携わる方々が単純作業によって本業にかけるリソースを奪われているという現実に対し、どれだけ問題意識を持って取り組めるかが最後の勝敗を分けるんじゃないか、と。

そもそもPMは知識量も求められるし、ロジカルシンキングも要求されるし、様々なセクションの人とコミュニケーションをとらなきゃいけない。相当タフな仕事です。それらを乗り越えられるのも、この命題を解かなければいけないという情熱があってこそだと思うんですよね。

ー知識量とおっしゃいましたが、PMになる上で最低限身につけておくべきだと思うスキルはありますか?

坂本: 大抵のスキルは後から伸ばせるというのが僕の持論です。ただ、唯一求めるものがあるとすれば、自分の得意領域をちゃんと持っていると良いと思いますね。さっき言った通り、PMは様々なセクションの人と話さなければいけません。そのとき、この領域に関しては同じロールの人と同等の目線で話せるというものがないとしんどいんじゃないかと思います。だから、何かしらコアとなるものを身につけておくことはお勧めしておきたいです。

ーでは、できるならこれは経験しておいた方がいいと思うことは?

坂本: チーム開発は経験しておいてほしいなと思います。と言うのも、PMってひとりで世の中に価値を出せないんですよ。誰かを巻き込んだりステークホルダーに説明しながら価値を出していく仕事。なので、それができないとちょっと厳しいかな、と。リーダーでもメンバーでも構いません。何かしらチームで仕事をした経験は持っておきたいですね。

後編につづく

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